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福祉タクシー券とガソリン券|障害児の移動費助成と選び方を解説

福祉タクシー券とガソリン券|障害児の移動費助成と選び方を解説

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障害のある子どもを育てていると、とにかく移動にお金がかかります。

通院、療育、放課後等デイの送迎の隙間、装具の調整。公共交通機関で行けるならまだしも、車でないと難しいご家庭も多いですよね。ガソリン代は毎月確実に出ていきます。

この移動費に対して、実は多くの市区町村が独自の助成を用意しています。「福祉タクシー券」や「自動車燃料費助成券」と呼ばれるものです。

ただ、この制度がやっかいなのは、名前も中身も自治体ごとにまったく違うこと。隣の市の情報をそのまま当てはめると、確実に間違えます。

そこでこの記事では、実際の自治体の例を並べて3つの型に整理し、自分の市区町村を調べるときにどこを見ればいいのかがわかるようにまとめました。

そもそもどんな制度なのか

重度の障害がある方の外出を支えるために、市区町村がタクシー料金やガソリン代の一部を助成する制度です。国の制度ではなく、それぞれの自治体が独自にやっているものなので、根拠も内容も自治体ごとに決められています。

受け取り方は、多くの場合「利用券(クーポン)」の形です。年度のはじめにまとめて交付され、タクシーの支払い時やガソリンスタンドでの給油時に、現金の代わりとして使います。

名称もさまざまで、次のような呼ばれ方をしています。

  • 福祉タクシー利用券/重度障害者タクシー料金助成
  • 自動車燃料費助成券/福祉ガソリン利用券
  • 心身障害者福祉タクシー料金・自動車燃料費助成共通券

お住まいの自治体のサイトで探すときは、この複数の言い方で検索してみてください。ひとつの呼び名で見つからなくても、別の名前で存在していることがあります。

自治体の制度は大きく3つの型に分かれる

いくつもの自治体を見ていくと、制度の設計は次の3つに整理できます。まず自分の自治体がどの型かを確認すると、その後の判断がぐっと楽になります。

型1|選択制(タクシー券かガソリン券のどちらか一方)

もっとも多いのがこの型です。タクシー券と燃料費助成券の両方が用意されているけれど、もらえるのはどちらか一方というもの。申請のときに選びます。

後述しますが、この「どちらを選ぶか」が家計への効き方を大きく変えます。

型2|共通券(1種類の券をどちらにも使える)

タクシーにもガソリンにも使える券を交付する型です。「今月は通院でタクシーを使い、来月は給油に使う」といった柔軟な使い方ができます。

ただし、ガソリンに使う場合は自治体が指定したガソリンスタンドでしか使えないことが多いので、生活圏に対象店があるかは確認が必要です。

型3|タクシー券のみ(ガソリン助成がない)

大都市に多い型です。公共交通機関が発達している地域では、そもそも燃料費助成を設けず、タクシー券や公共交通の無料乗車証で対応していることがあります。

この場合、バス・地下鉄の無料乗車証とタクシー券が選択制になっているケースもあるため、どちらが生活に合うかを考える必要があります。

実際の自治体を並べて比べてみる

「自治体によって違う」と言われてもピンとこないと思うので、実際の4市区の内容を並べます(2026年8月時点・各自治体の公式サイトより)。

自治体タクシー券ガソリン券
川口市
(埼玉)
選択制 初乗運賃相当額
年36枚以内
1枚700円
年12枚以内
越谷市
(埼玉)
選択制 初乗運賃相当額
年48枚
1枚1,000円
年12枚
足立区
(東京)
共通券 タクシー・区指定のガソリンスタンドのどちらにも使える共通券
申請時期により年間14,000〜42,000円分
名古屋市
(愛知)
タクシーのみ 1枚上限500円
年180枚
制度なし

並べてみると、違いの大きさがよくわかると思います。

  • ガソリン券の額面は1枚700円の市もあれば1,000円の市もある
  • タクシー券の枚数は年36枚のところもあれば年180枚のところもある
  • そもそもガソリン助成がない自治体もある

だからこそ、ネットで見つけた他市の情報を「うちも同じだろう」と思わないことが大事です。必ず自分の市区町村のページを見てください。

対象になる手帳の等級はどこまで?

次に気になるのが「うちの子は対象になるの?」というところですよね。

基本的には重度の障害が対象です。おおまかな目安は次のとおりですが、ここも自治体差があります。

自治体対象となる手帳・等級
川口市身体1・2級/療育〇A・A/精神1級
越谷市身体1・2級(下肢・体幹・移動機能は3級も)/療育〇A・A・B/精神1級
※前年度の市区町村民税が非課税であることも要件
名古屋市身体1・2級/愛護手帳1・2度/身体3級かつ愛護手帳3度/精神1級
足立区身体は障害部位により1〜3級/愛の手帳1・2度

ここで注目してほしいのが越谷市です。

多くの自治体が知的障害の最重度〜重度(〇A・A)に限定しているなかで、越谷市は療育手帳Bも対象に含めています。その代わり、市民税非課税という所得の要件が付いています。

つまり、「等級で切る自治体」と「等級はゆるめだが所得で切る自治体」があるということです。手帳の等級だけを見て「うちは対象外だろう」と判断せず、自分の自治体の要件を最後まで読んでみてください。

タクシー券とガソリン券、どちらを選ぶべきか

選択制の自治体では、ここが最大の悩みどころです。判断のポイントを整理します。

額面だけを比べると、タクシー券のほうが大きいことが多い

先ほどの越谷市を例にすると、タクシー券は年48枚で1枚が初乗運賃相当額、ガソリン券は1枚1,000円で年12枚(12,000円分)です。額面の総額で見ると、タクシー券のほうが大きくなる自治体が多い傾向があります。

ただし、これは使い切れた場合の話です。

大事なのは「実際に使い切れるか」

ここが判断の分かれ目です。

  • ふだん車で移動していて、タクシーはほとんど使わない → タクシー券は余ります。ガソリン券のほうが確実に消化できます
  • 親が運転できない・車がない → 迷わずタクシー券です
  • 車椅子やバギーで、乗せ降ろしが大変になってきた → 今後リフト付タクシーを使う場面が増える可能性があります
  • 通院が頻繁で、体調によっては車を出せない → タクシー券を持っておくと安心材料になります

額面が大きくても、使わないまま年度末を迎えてしまえば意味がありません。「もらえる額」より「自分の生活で使い切れるほう」を選ぶのが基本です。

なお、多くの自治体では年度の途中でも種別の変更(交換)を受け付けています。「選んでみたけど合わなかった」という場合は、窓口に相談してみてください。1年間我慢する必要はありません。

都市部は「公共交通の無料乗車証」との比較になることも

名古屋市のような政令指定都市では、市バス・地下鉄の福祉特別乗車券があり、タクシー券とはどちらか一方の選択になります。

電車やバスで移動できるお子さんなら乗車証、公共交通機関の利用が難しいお子さんならタクシー券、という分かれ方です。感覚過敏で電車が苦手なお子さんの場合は、乗車証をもらっても使えないということが起こり得るので、実際の生活で判断してください。

申請が遅れると損をする仕組みがある

これは知らないと確実に損をするポイントなので、ぜひ覚えて帰ってください。

自治体によっては、申請した時期によって交付される枚数が減っていきます。

足立区の例では、申請の時期で次のように変わります。

申請した時期交付される額
4月〜7月3冊(42,000円分)
8月〜11月2冊(28,000円分)
12月〜3月1冊(14,000円分)

同じ制度、同じ対象者でも、申請が年度後半になるだけで28,000円分の差が出ます。越谷市のように「1か月あたり4枚換算」で計算する自治体も同じ考え方です。

つまり、年度が替わったらできるだけ早く申請するのが鉄則です。手帳を取得したばかりの方も、「次の4月まで待とう」ではなく、まず窓口で今年度分がもらえるか確認してください。

自分の自治体の制度を調べる手順

最後に、実際に調べるときの手順をまとめます。

  1. 「〇〇市 福祉タクシー券」で検索する。見つからなければ「〇〇市 自動車燃料費助成」「〇〇市 障害者 ガソリン」でも試す
  2. 市区町村の障害福祉課のページにたどり着いたら、次の5点を確認する
    • 対象になる手帳の種類と等級
    • 所得の要件があるか
    • タクシーとガソリンは選択制か、共通券か
    • 1枚あたりの額と年間の枚数
    • 申請時期による減り方があるか
  3. ページで判断がつかなければ障害福祉課に電話する。「療育手帳〇級の子どもがいるが、タクシー券かガソリン券の対象になりますか」と聞けば確認してもらえます
  4. 手帳の交付・更新で窓口に行く用事があるときに、ついでにまとめて聞いてしまうのが効率的です

この手の自治体独自の制度は、案内が来ないまま何年も過ぎてしまうことが本当に多いものです。「聞かれなかったから説明しなかった」で終わってしまうこともあるので、こちらから聞きにいく姿勢が大事になります。

よくある質問

Q. タクシー券とガソリン券、結局どちらがお得ですか?

額面の総額だけで比べるとタクシー券のほうが大きい自治体が多いのですが、使い切れなければ意味がありません。ふだん車で移動していてタクシーをほとんど使わないご家庭なら、ガソリン券のほうが確実に消化できます。逆に、車がない・運転できない・車椅子で乗せ降ろしが大変といった事情があるならタクシー券です。多くの自治体では年度途中の種別変更にも応じているので、まず1年使ってみて合わなければ相談する、という進め方でも問題ありません。

Q. 療育手帳Bでも対象になりますか?

自治体によります。知的障害の最重度〜重度(〇A・A)に限定している自治体が多い一方で、越谷市のようにBまで対象に含めている自治体もあります。ただしその場合、市民税非課税などの所得要件が付いていることがあります。等級だけで自己判断せず、お住まいの市区町村の要件を最後まで確認してください。

Q. 親が運転する車のガソリン代でも使えますか?

使える自治体が多いです。ガソリン助成は「障害のある本人が使用する自動車」を対象にしており、本人・同居の家族・市内在住の親族が所有し運転している車を要件としている例が一般的です(川口市の例)。子どもが自分で運転するわけではないので、当然ながら送迎する親の運転が想定されています。ただし施設に入所している場合は対象外とするなどの条件があるため、申請時に車検証の内容とあわせて確認してください。

Q. 年度の途中で申請しても、同じ枚数もらえますか?

いいえ、減ることが多いです。足立区の例では、4〜7月の申請で42,000円分、12〜3月の申請では14,000円分と、3分の1になります。月割りで計算する自治体も同様です。手帳を取得したら、年度末を待たずにすぐ申請することをおすすめします。

まとめ

  • 多くの市区町村に福祉タクシー券・自動車燃料費助成があるが、内容は自治体ごとにまったく違う
  • 制度は①選択制 ②共通券 ③タクシーのみの3つの型に整理できる
  • 対象は重度が中心だが、療育手帳Bまで含める自治体もある(所得要件付きのことが多い)
  • 選ぶときは額面より「使い切れるほう」。車移動中心ならガソリン券が現実的
  • 申請が年度後半になると交付額が減る自治体がある。手帳を取ったらすぐ窓口へ

毎月のガソリン代や通院のタクシー代は、ひとつひとつは小さくても、1年分にすると決して小さくない金額になります。使える制度があるなら、遠慮なく使ってください。窓口で聞くだけならタダです。

※制度・金額に関するご注意
本記事に記載の金額や制度内容は、執筆・更新時点の情報です。金額・条件は年度やお住まいの自治体により異なる場合があります。最新の情報は必ずお住まいの市区町村の窓口や公式サイトでご確認ください。

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