発達障害の診断がつくまでの流れ|1歳半健診で指摘されてからのこと
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「なんとなく、他の子と違う気がする」
「気にしすぎだと言われるけれど、やっぱり引っかかる」
子どもの発達に違和感を覚えたとき、多くの親がこの状態でしばらく足踏みします。誰かがはっきり教えてくれるわけでもなく、かといって放っておくのも不安。「そのうち追いつくよ」で終わらせていいのかが分からないからです。
わが家は、小さいころから「他の子とは変わっているな」と感じていました。決定的だったのは、1歳になっても立てなかったこと。さすがに何かおかしいと思い、そのまま1歳半健診で相談し、診断につながりました。
この記事では、違和感を覚えてから診断がつくまでに何が起きるのかを、乳幼児健診の仕組み・相談できる窓口・診断後に使える支援まで含めて整理します。とくに伝えたいのは、周りは教えてくれないので、親が自分から動く必要があるということです。
- 「他の子と違う気がする」という違和感
- わが家の場合|1歳で立てなかった
- 周りは教えてくれない、という現実
- 乳幼児健診の仕組みを知っておく
- 健診では「ありのまま」を見てもらう
- 診断がつくまでの流れ
- 自分から動くための相談窓口
- 診断がつくと何が変わるか
- 診断が怖い、と感じるとき
- よくある質問
- まとめ|早く動いて損をすることはない
「他の子と違う気がする」という違和感
発達の相談で最初のきっかけになるのは、たいてい親の「なんとなく」です。検査の数値でも、誰かの指摘でもなく、毎日そばで見ている人間の違和感が最初に来ます。
よくあるのは、次のような気づき方です。
- 首すわり・お座り・歩き始めなど、運動面の節目が来ない
- 言葉が出ない、指さしをしない、名前を呼んでも振り向かない
- 目が合いにくい、他の子に興味を示さない
- 感覚の偏りが強い(特定の音を極端に嫌がる、偏食が激しい)
- 癇癪の激しさや切り替えの難しさが、同じ年齢の子と比べて明らかに違う
厄介なのは、この違和感が「気にしすぎ」と「見過ごせない差」の間で揺れることです。きょうだいや周りの子と比べて不安になり、でも「男の子は言葉が遅いって言うし」と自分で打ち消す。この往復を何か月も続けてしまう人は少なくありません。
結論から言えば、その違和感の段階で相談してかまいません。相談した結果「様子を見ましょう」となっても、何も損はしないからです。
わが家の場合|1歳で立てなかった
わが家は、かなり早い時期から「他の子とはちょっと違うな」と感じていました。ただ、それだけならまだ「個性の範囲かもしれない」と思えたはずです。
はっきりしたのは、1歳の時点で立てなかったことでした。周りの子が伝い歩きから歩き出していく中で、うちの子はその段階に来ない。ここで「何かおかしい」という感覚が、気のせいでは片づけられないものに変わりました。
そして1歳半健診で相談し、診断につながりました。振り返って思うのは、あのとき健診で「大丈夫です」と取り繕わなくてよかった、ということです。もし気になる点を隠していたら、支援につながるのはもっと後になっていたはずです。
なお、健診の場ですぐ診断名がつくとは限りません。多くの場合は「経過観察」や「精密検査を受けましょう」といった形で、専門機関につないでもらう流れになります。どちらにしても、健診が最初の入口になるという点は共通しています。
周りは教えてくれない、という現実
これがこの記事でいちばん伝えたいことです。
周りの人は、子どもの発達の気になる点を教えてくれません。とくに親しい友人ほど言いません。
理由は単純で、言えばこちらを傷つけるからです。デリケートな話であることは誰でも分かるので、気づいていても「元気でいいね」「そのうち伸びるよ」と当たり障りのない言葉になります。悪意はまったくなく、むしろ気遣いの結果です。
その結果どうなるか。親が自分から調べたり、行政の相談窓口に行ったりしない限り、誰からも指摘されないまま時間が過ぎていきます。
特に注意したいのが、「少し他の人と違う」程度のケースです。歩けない・言葉がまったく出ないといった分かりやすい遅れがあれば健診で引っかかりますが、そうでない場合は誰にも止められないまま、そのまま就学し、進学していきます。
ここで見落とされがちなのが、本人の生きづらさです。周囲が気づいていないだけで、本人にとっては合わない環境の中で毎日を過ごしていることになります。うまくいかない理由が分からないまま「努力不足」「わがまま」として扱われれば、本人が一番つらい。診断や支援は、本人を「障害児」に区分するためのものではなく、その子に合った環境を用意するための手段です。
だからこそ、動くのは親しかいません。誰かが背中を押してくれるのを待っていると、その機会は来ないままになります。
乳幼児健診の仕組みを知っておく
親が動くうえで、いちばん身近な入口が乳幼児健康診査(健診)です。仕組みを知っておくと使いやすくなります。
なお、正式な名称は「健康診査」なので「1歳半健診」「3歳児健診」と書くのが正しい表記です。ただ「1歳半検診」と表記されることも多く、どちらも同じものを指しています。(「検診」はがん検診のように特定の病気を見つけるための検査を指す言葉です)
| 健診 | 位置づけ |
|---|---|
| 1歳6か月児健診 | 母子保健法第12条により、市町村に実施が義務づけられています |
| 3歳児健診 | 同じく母子保健法第12条により、市町村に実施が義務づけられています |
| 1か月児健診・5歳児健診 | 国が費用の補助を行っており、実施する自治体が広がっています |
| その他の月齢の健診 | 3〜6か月児健診などが自治体の判断で実施されています |
ポイントは、就学前に公的な確認の機会が複数回あるということ。とくに5歳児健診は、集団生活が始まってから見えてくる特性(集団行動の苦手さ、指示の通りにくさなど)を拾える機会として広がってきています。お住まいの自治体で実施されているか、母子保健の窓口で確認してみてください。
健診では「ありのまま」を見てもらう
ここも、経験からどうしても書いておきたい部分です。
健診の場では、つい子どもを「よく見せよう」としてしまいます。できないことを聞かれたら「家ではできています」と答えたくなる。できるはずのことをやらない子どもに、必要以上に促してしまう。心当たりのある方は多いのではないでしょうか。
その気持ちの正体は、多くの場合「障害があると認めたくない」という思いです。指摘されるのが怖い、うちの子は大丈夫だと思いたい——これはごく自然な感情で、責められるべきものではありません。
ただ、はっきり言えることがあります。取り繕った結果として支援につながらないのは、子ども本人にとって不利益にしかなりません。
健診はテストではありません。合格・不合格を判定する場ではなく、支援が必要かどうかを見つけるための場です。だから、次のように振る舞うほうが結果的に本人のためになります。
- できないことはできないまま見てもらう。その場で促して無理にやらせない
- 家庭で気になっていることは、聞かれなくても自分から言う
- 「たまたま今日は機嫌が悪くて」と説明を足しすぎない
- 気になる場面は動画で撮っておいて見てもらう(本領を発揮しない子は多いので有効です)
ありのままを見てもらうことが、遠回りに見えていちばんの近道です。
診断がつくまでの流れ
実際に診断に至るまでは、おおむね次のような段階を踏みます。自治体や医療機関によって順番や名称は変わりますが、大枠は共通しています。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① 気づき・相談 | 健診で相談する/保健センターや子育て相談の窓口に自分から連絡する |
| ② 経過観察・発達相談 | 数か月後の再確認、心理士による発達相談、親子教室などを案内される |
| ③ 専門機関へつなぐ | 児童発達支援センターや医療機関(小児神経科・児童精神科など)を紹介される |
| ④ 検査・診察 | 発達検査・知能検査、生育歴の聞き取り、行動観察などを行う |
| ⑤ 診断・方針の説明 | 診断の有無と、必要な支援(療育など)の方針が示される |
知っておいてほしいのが、この流れには時間がかかるということです。専門医療機関の初診は数か月待ちになることが珍しくなく、検査の予約でさらに待つこともあります。「相談したのに、まだ何も進まない」と感じる時期が必ずと言っていいほどあります。
だからこそ、迷っている段階で相談だけ先に入れておくのが現実的です。待っている間に様子が変わることもありますし、必要なくなればキャンセルすればいいだけです。
また、診断を待たずに始められる支援もあります。児童発達支援などは、自治体の判断で診断名がなくても利用できる場合があります。「診断がつくまで何もできない」わけではないので、窓口で相談してみてください。
自分から動くための相談窓口
「健診はまだ先」「前回の健診では何も言われなかった」という場合でも、相談できる場所はあります。名称は自治体で異なるので、迷ったら市区町村の代表番号に「子どもの発達のことで相談したい」と伝えれば案内してもらえます。
| 窓口 | 相談できること |
|---|---|
| 市区町村の保健センター | 健診の担当部署。発達の相談、保健師による面談。まず最初の相談先になりやすい |
| 子育て・母子保健の相談窓口 | 妊娠期から子育て期までの相談。自治体により名称が異なります |
| 児童発達支援センター | 発達に支援が必要な子の通所支援。相談だけでも受け付けている場合が多い |
| 発達障害者支援センター | 都道府県・政令市に設置。発達障害に関する専門的な相談ができる |
| かかりつけの小児科 | 専門機関への紹介状を書いてもらえることがある |
| 保育園・幼稚園の先生 | 集団の中での様子を知る唯一の存在。家庭では見えない情報が得られる |
特におすすめしたいのが、保育園・幼稚園の先生に「気になる点はありますか」と直接聞くことです。先生は多くの子どもを見てきた比較の目を持っていますし、家庭では見えない集団場面での様子を知っています。友人と違って、聞かれれば答えてくれる立場でもあります。
診断がつくと何が変わるか
診断は「レッテル」ではなく、支援につながるための鍵です。診断や手帳があることで、次のような制度が使えるようになります(制度ごとに要件は異なります)。
- 療育(児童発達支援・放課後等デイサービス)…受給者証を取得して利用する。診断名がなくても利用できる場合があります
- 障害者手帳…療育手帳・身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳の3種類。割引や助成の入口になります
- 手当…特別児童扶養手当など、障害の程度に応じた手当があります
- 就学時の選択肢…通級・支援学級・特別支援学校といった、その子に合った学びの場を選べるようになります
- 学校で合理的配慮を求めやすくなる…特性が共有されることで、不登校など二次的な困りごとの予防にもつながります
それぞれの入口を、関連記事にまとめています。
▶ 就学先の選び方:普通級・通級・支援級・支援学校どれを選ぶ?就学先の決め方完全ガイド
診断が怖い、と感じるとき
相談をためらう理由の多くは、情報不足ではなく感情です。「認めたくない」「決めつけられたくない」「まだ可能性を狭めたくない」——どれも自然な気持ちだと思います。
そのうえで、少しだけ視点を変えてみてください。
- 診断は子どもを変えません。子どもは今日も明日も同じ子で、変わるのは周囲の関わり方と使える支援だけです
- 相談しても診断がつくとは限りません。「様子を見ましょう」で終わることも普通にあります
- 早く動いて損をすることはありません。逆に、遅れて困ることは実際にあります
- 診断名は変わることがあります。成長に伴って評価が変わるのはよくあることで、一度の診断が一生を決めるわけではありません
そして何より、合わない環境で過ごし続けることのほうが、本人にとってはつらいという点です。診断や支援は、その子を枠にはめるためではなく、その子に合う環境を用意するために使うものです。
親が「認めたくない」と足踏みしている時間は、そのまま本人が支援なしで過ごす時間になります。厳しい言い方かもしれませんが、これは自分自身への戒めとしても書いています。
よくある質問
Q. 発達障害の診断は何歳からつきますか?
特性や状態によって異なります。運動発達の遅れや明らかな遅れを伴う場合は乳幼児期に分かることがありますが、一方で集団生活が始まってから特性が目立ってくるケースもあり、就学前後や学齢期に診断がつくことも珍しくありません。「何歳になったら分かる」という決まった年齢はないため、年齢を待つのではなく、気になった時点で相談するのが基本です。診断や医学的な判断は必ず医療機関で受けてください。
Q. 次の健診まで待ったほうがいいですか?
待つ必要はありません。市区町村の保健センターや子育ての相談窓口は、健診の時期に関係なく相談を受け付けています。専門機関の予約が数か月先になることも多いため、気になった時点で相談だけ先に入れておくほうが結果的に早く支援につながります。相談した結果「様子を見ましょう」となっても不利益はありません。
Q. 健診で子どもがうまくできないと、つい取り繕ってしまいます。
とても自然な反応ですが、ありのままを見てもらうほうが本人のためになります。健診は合否を決める場ではなく、支援が必要かどうかを見つける場だからです。その場でできなかったことは無理に促さず、家庭で気になっている点は聞かれなくても自分から伝えてください。普段の様子を動画で撮って見てもらうのも有効です。
Q. 診断がつかないと支援は受けられませんか?
そうとは限りません。児童発達支援などの通所支援は、自治体の判断により診断名がなくても受給者証が交付される場合があります。要件や運用は自治体によって異なるため、「診断がまだなのですが」と前置きしたうえで障害福祉の窓口に相談してみてください。診断を待つ間に始められる支援があるかどうかは、必ず確認する価値があります。
まとめ|早く動いて損をすることはない
- 診断のきっかけは、たいてい親の「なんとなく違う」という違和感。その段階で相談してよい
- 周りは教えてくれない。親しい人ほど言わないので、自分から調べ、窓口に行く必要がある
- 1歳6か月児健診・3歳児健診は市町村の義務。健診は最初の入口として使える
- 健診では取り繕わず、ありのままを見てもらう。それが結局いちばんの近道
- 診断までは時間がかかるので、迷っている段階で相談だけ先に入れておく
- 診断は子どもを変えるものではなく、その子に合う環境を用意するための鍵
▶ きょうだいがいるご家庭へ:きょうだい児が抱える気持ちと親にできること|障害児家庭のリアルな工夫
わが家は1歳で立てないという分かりやすいサインがあったので、比較的早く動くことができました。でも、もし「少し他の子と違う」程度だったら、誰にも指摘されないまま何年も過ぎていたかもしれません。
いま違和感を抱えている方には、その感覚を無視しないでほしいと思います。相談して何もなければそれでいい。動いて損をすることは、この分野に関してはまずありません。
※制度・金額に関するご注意
本記事に記載の金額や制度内容は、執筆・更新時点の情報です。金額・条件は年度やお住まいの自治体により異なる場合があります。最新の情報は必ずお住まいの市区町村の窓口や公式サイトでご確認ください。診断や治療に関する判断は、必ず医療機関にご相談ください。
診断のあとに受けることが多い知能検査の読み方と、見落とされやすい「不器用さ」の特性についても記事にしています。