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障害児の脱走対策|家の中でできる「仕組みで守る」5つの工夫

障害児の脱走対策|家の中でできる「仕組みで守る」5つの工夫

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「ちょっと目を離したすきに、玄関から出ていってしまった」

障害のある子を育てていると、この一瞬が本当に怖いですよね。わが家でも実際に玄関から外に出てしまったことがあり、それをきっかけに家の中の対策を一気に見直しました。

結論から言うと、「目を離さない」でどうにかしようとすると、いつか必ず限界がきます。親が疲れているときも、料理をしているときも、下の子の世話をしているときも、同じ強さで守ってくれるのは「仕組み」のほうです。

この記事では、わが家で実際に取り入れた家の中の脱走対策を、費用感や注意点も含めてまとめます。

「気づいたら玄関から外に出ていた」という経験

わが家では、実際に子どもが玄関から外に出てしまったことがあります。

そのときに痛感したのは、親の注意力は一定ではないということでした。体調が悪い日も、来客対応をしている数分間も、子どもの行動力は変わりません。むしろ「今なら開いている」というタイミングを、子どものほうがよく見ています。

だからこそ、その後にやったのは「もっと気をつける」ではなく、気をつけていない瞬間でも成立する対策を家に組み込むことでした。以下はその中身です。

鍵をかけるだけでは足りない理由

「玄関に鍵をかければいい」と思われがちですが、実際にはこれだけでは足りない場面が多くあります。

  • 鍵の開け方を覚える。何度も見ていれば、手順として記憶してしまう子は少なくありません
  • 家族の出入りで開く瞬間がある。宅配、ゴミ出し、きょうだいの登下校など、玄関は一日に何度も開きます
  • 玄関以外の出口がある。掃き出し窓、ベランダ、勝手口など、家には出口が複数あります
  • そもそも「危ない」という判断が難しい。道路や車の危険を理解して行動を止めるのは、年齢や特性によっては期待できません

つまり必要なのは、ひとつの完璧な対策ではなく、突破されても次で止まる「層」をつくることです。以下の5つは、その層を家の中に作っていく順番でもあります。

対策1|ベビーゲートを「各部屋の出入口」に付ける

わが家がまず取り入れたのは、突っ張り(圧着)式のベビーゲートを各部屋の出入口に設置する方法です。

ポイントは「危ない場所に付ける」のではなく、部屋そのものを区切ってしまうことでした。キッチンだけ、階段だけ、と部分的に守ると、結局その手前まで自由に移動できてしまい、玄関にも到達できてしまいます。部屋の出入口で止められると、親が別の部屋にいても「どこにいるか」がわかるという安心感が大きいです。

突っ張り(圧着)式を選んだ理由

  • 壁に穴を開けなくていい。賃貸でも使いやすく、原状回復の心配が少ない
  • 設置場所を変えられる。子どもの成長や生活動線の変化に合わせて付け替えられる
  • 数を増やしやすい。工事が不要なので、必要な出入口に順番に足していける

設置前に知っておきたい注意点

便利な一方で、突っ張り式には構造上の弱点もあります。ここは正直に書いておきます。

  • 体重をかけて押されると外れることがある。体格が大きくなってくると、「よじ登る」「体当たりする」で突破される可能性があります。定期的に固定の緩みを確認してください
  • 階段の上には使わないほうが安全。多くの製品で、階段上部への設置は推奨されていません。転落のリスクが直結するため、必ず取扱説明書の設置可能場所を確認してください
  • 足をかけられる横桟(よこざん)に注意。格子のデザインによっては、そこを踏み台にして乗り越えられてしまいます
  • 「乗り越えられる高さ」になる日がくる。ベビーゲートは本来乳幼児向けの製品です。体格が追いついたら、後述のドアノブや玄関側の対策へ切り替える必要があります

参考までに、突っ張り(圧着)式で幅を調整できるタイプを1つ載せておきます。取付幅70〜91cmに対応していて、拡張フレームで広い出入口にも合わせられるものです。設置前に出入口の幅を測っておくと、サイズ違いで買い直すことがなくなります。

※上の商品は一例です。階段の上には使わない、体格が大きくなったら別の対策へ切り替えるなど、前述の注意点は製品を問わず共通です。取扱説明書の設置可能場所を必ずご確認ください。

対策2|ドアノブを内側だけ外す

ゲートを乗り越えられるようになってきたときに効いたのが、ドアノブを内側だけ外してしまう方法です。

やっていることはシンプルで、部屋の内側のノブ(レバー)だけを取り外し、外側のノブは残しておくというもの。こうすると中からは自分でドアを開けられなくなりますが、外にいる大人はいつでも普通に開けられます。

市販の「ドアノブカバー」もありますが、力が強くなってくると外されたり壊されたりすることがあります。ノブそのものが無ければ、つかむところがないので突破されにくい、という考え方です。

必ず守りたい安全上の注意

この方法は効果が高い分、「中の人が自力で出られなくなる」というリスクと引き換えです。導入するなら、以下は必ずセットで考えてください。

  • 外側のノブは絶対に残す。両側を外すと、大人も開けられなくなります
  • 火災・地震のときに開けられる人が家にいる状態を前提にする。子どもだけを室内に残して外出する使い方はしない
  • ドアの構造によっては外せない・戻せないことがあります。賃貸では原状回復の可否を含めて、事前に管理会社へ確認しておくと安心です
  • 取り外した部品はまとめて保管する。小さなネジやラッチは紛失しやすく、退去時や引っ越し時に困ります
  • 浴室・トイレなど水回りには使わない。閉じ込めのリスクが高く、別の対策(外側からの補助錠など)に切り替えるほうが安全です

わが家では、この「内側だけ外す」やり方に落ち着いています。危ない部屋に入らせないためというより、親が視界から外れる数分間の安全を確保するための対策です。

対策3|玄関は「高さ」で二重にする

最後の砦になるのが玄関です。ここは、もとの鍵に加えて子どもの手が届かない高さに補助錠を足すのが基本になります。

  • 上部に補助錠を付ける。踏み台を持ってこられないよう、玄関まわりに椅子や箱を置かないこともセットで考えます
  • ドアの開閉を音で知らせる。開閉センサーやドアチャイムを付けると、開いた瞬間に気づけます。「防ぐ」より「気づく」ための対策です
  • チェーンやドアガードは過信しない。手が届く高さにあるものは、いずれ操作方法を覚えられる前提で考えます

補助錠には、貼り付けタイプ・ドア枠に挟むタイプ・工事が必要なタイプがあります。賃貸なら穴を開けないタイプから試すのが現実的です。

参考までに、玄関まわりでよく使われるものを2つ挙げます。ひとつめは後付けのダイヤル式補助錠で、鍵を持ち歩かずに済み、子どもの手が届かない高さに付けられるのが利点です。自宅のドアの開き方向(外開き・内開き)に対応しているか、取り付けがネジ止めか粘着かは製品ごとに違うので、購入前に商品ページで必ず確認してください。賃貸の場合は、ドアに穴を開けてよいかの確認も必要です。

ふたつめはドアの開閉を音で知らせるワイヤレスチャイムです。こちらは「開けさせない」のではなく、開いた瞬間に気づくための道具なので、補助錠とは役割が違います。宅配やゴミ出しで玄関が開く一瞬をカバーしたいときに向いていて、配線が要らないタイプなら賃貸でも導入しやすいです。

対策4|窓とベランダは別のリスクとして考える

玄関を固めると、次に出口になるのが窓です。特に掃き出し窓とベランダは、外に出られるだけでなく転落という別の危険があります。

クレセント錠は「閉め忘れ」も「開け方を覚えられること」も起きるため、サッシのレール側で物理的に開かなくする補助ロックを足すのが確実です。この対策については、実際に使っている窓ロックのレビュー記事に詳しくまとめています。

対策5|「出てしまったあと」の備えもセットで用意する

ここまでは「出さないための対策」ですが、それでも出てしまったときに何ができるかを用意しておくと、気持ちの負担がかなり変わります。

  • 見守りGPSを持たせる。居場所がわかるだけで、捜索の初動がまったく変わります
  • 名前・連絡先が伝わるものを身につけておく。言葉で自分の情報を伝えるのが難しい場合、保護されたときに大人が気づけるかどうかが分かれ目になります
  • 近所や学校に事情を伝えておく。「見かけたら声をかけてほしい」と伝えられている家庭は、発見が早い傾向があります

家の中の物理的な対策と、外に出たあとの備えは役割が違います。両方そろえて、はじめて一本の線になります。

なお、車の中での抜け出し(チャイルドシートのバックル外し)は、家の中とはまったく別の対策が必要です。こちらも命に直結するので、あわせて確認しておくと安心です。

脱走対策にお金はどのくらいかかる?制度は使える?

ここまでの対策は、市販品を使えば1か所あたり数千円から1万円程度が目安です。ただし出入口の数だけ必要になるため、家全体で見ると意外とまとまった金額になります。

「福祉制度で補助が出ないの?」と思われるかもしれません。ここは正確に書いておきます。

  • 市販のベビーゲートや補助錠そのものは、給付の対象になりにくいのが一般的です。日常生活用具の給付は品目が定められており、一般向けの育児用品は含まれないことが多いためです
  • 一方で、手すりの設置や段差解消といった住宅改修については、自治体によって助成の仕組みがある場合があります
  • 対象品目・上限額・所得の要件は自治体ごとに差が大きいため、購入前に市区町村の障害福祉担当窓口に相談するのが確実です

日常生活用具の給付制度そのものについては、こちらで詳しく解説しています。

なお、地震のあとは玄関や窓が開けっ放しになり、家族も気が動転しています。ふだんは仕組みで止められている子ほど、災害時に外へ出てしまうリスクが上がります。在宅避難の備えとあわせて考えておくと安心です。

よくある質問

Q. ベビーゲートは何歳まで使えますか?

製品ごとに対象年齢の目安が決められており、一般的には乳幼児向けです。ただし実際には年齢よりも体格と力で判断することになります。乗り越えられる、押して動かせる、という状態になったら安全性が確保できないため、ドアノブや玄関の補助錠など別の方法へ切り替えてください。設置したまま突破されると、ゲートが倒れてけがにつながる可能性があります。

Q. 賃貸住宅でも設置できますか?

突っ張り(圧着)式のベビーゲートや、貼り付け・挟み込みタイプの補助錠であれば、壁やドアに穴を開けずに設置できます。ドアノブの取り外しについては、部品を保管して退去時に元へ戻せるかどうかがポイントです。判断に迷う場合は、事前に管理会社や大家さんへ確認しておくとトラブルを避けられます。

Q. ドアノブを内側だけ外すのは危なくないですか?

中から自力で出られなくなるため、火災や地震のときに開けられる家族が在宅していることが前提になります。外側のノブは必ず残し、子どもだけを室内に残して家を空ける使い方はしないでください。浴室やトイレなど、閉じ込めのリスクが高い場所には使わず、別の方法を選ぶほうが安全です。

Q. 脱走防止グッズに補助金は使えますか?

市販の育児用品は給付の対象になりにくいのが一般的ですが、手すりの設置や段差解消などの住宅改修については、自治体によって助成の仕組みがある場合があります。対象になる品目・工事の範囲・上限額は自治体ごとに大きく異なるため、購入や工事の前に市区町村の障害福祉担当窓口へ相談してください。先に買ってしまうと対象外になる制度もあります。

まとめ|「見張る」から「仕組みで守る」へ

この記事でお伝えしたことを整理します。

  • 脱走対策は、注意力ではなく仕組みで守る。親の調子が悪い日でも同じように働くことが条件
  • 突っ張り式のベビーゲートを各部屋の出入口に。賃貸でも使え、成長に合わせて付け替えられる
  • 乗り越えられるようになったらドアノブを内側だけ外す。外側は必ず残し、閉じ込めのリスクとセットで考える
  • 玄関は手の届かない高さの補助錠と、開閉に気づけるセンサーの組み合わせが有効
  • 窓とベランダは転落という別の危険があるため、専用のロックで対処する
  • それでも出てしまったときのために、見守りGPSと身元がわかるものを用意しておく

ひとつの対策で完璧に防ごうとすると、どこかで必ず破られます。突破されても次で止まる層をつくることが、いちばん現実的で、親の心も守ってくれる方法だと感じています。

できるところから、ひとつずつで大丈夫です。


※制度・金額に関するご注意
本記事に記載の金額や制度内容は、執筆・更新時点の情報です。金額・条件は年度やお住まいの自治体により異なる場合があります。最新の情報は必ずお住まいの市区町村の窓口や公式サイトでご確認ください。

※安全に関するご注意
本記事で紹介している方法は、わが家で実際に取り入れているものですが、住宅の構造やお子さんの状態によって適否が異なります。製品は必ず取扱説明書に従って設置し、設置後も定期的に固定の状態を点検してください。

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