「残業なし」で働ける?障害児を育てる親が知っておきたい育児・介護休業法の活用術
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障害のあるお子さんを育てながら働く日々。
仕事と家庭の両立は、想像以上に大変ですよね。
「残業が多くて子どものケアができない」「職場に迷惑をかけてしまう」——そんな悩みから、退職を考えてしまう方も少なくありません。
でも実は、退職せずに働き続ける方法があります。
それが「育児・介護休業法」を活用することです。
この法律には「育児」と「介護」という2つの枠組みがあり、障害のあるお子さんを育てる家庭は、どちらも使える可能性があります。
ここを知らないまま「育児」のほうだけを見て、年齢の上限で対象外だと諦めてしまう方が少なくありません。 実は「介護」の枠組みには年齢の上限がなく、小学生でも中学生でも、成人しても使えます。
お子さんの年齢で、読むところが変わります
■ 小学校就学前のお子さん
「育児」の制度が中心になります。このまま読み進めてください。(残業免除・子の看護等休暇・短時間勤務など)
■ 小学生以上のお子さん
「育児」の制度は多くが対象外になりますが、「介護」の枠組みなら年齢の上限なく使えます。
→「就学後も使える|障害児は『介護』の制度が使えます」へ進む
※小学校3年生までのお子さんは、「子の看護等休暇」も引き続き使えます。就学前の方も、お子さんの状態によっては「介護」の枠組みのほうが有利な場合があります。
目次
- 育児・介護休業法とは?
- 2025年の法改正で使える範囲が広がりました
- 障害児の親が使える主な制度6つ【就学前が中心】
- 3歳から就学前は「柔軟な働き方」の措置が使える
- 就学後も使える|障害児は「介護」の制度が使えます【年齢制限なし】
- よくある質問:「忙しい時期に、仕事を増やされたらどうなる?」
- 退職を考える前に、「制度を使う」という選択を
- よくある質問
- まとめ:辞める前に、できることを知ろう
育児・介護休業法とは?
育児・介護休業法は、子育てや介護をしながらでも働き続けられるようにするための法律です。
申請をすれば、残業の免除や短時間勤務など、柔軟な働き方を選ぶことができます。
特に障害児を育てている家庭では、突発的な通院や療育の付き添いなどが多いため、制度を上手に使うことで心身の負担を大きく減らせます。
2025年の法改正で使える範囲が広がりました
まず知っておいていただきたいのが、2025年(令和7年)4月と10月の改正で、制度を使える範囲が大きく広がったことです。以前に調べて「うちは対象外だった」と諦めた方も、いま一度確認する価値があります。
| 変わったこと | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 残業免除の対象 | 3歳未満の子 | 小学校就学前の子(2025年4月〜) |
| 子の看護休暇の対象 | 小学校就学前の子 | 小学校3年生修了まで(2025年4月〜) |
| 子の看護休暇の取得事由 | 病気・けが・予防接種・健診 | 上記に学級閉鎖・入園式・入学式・卒園式を追加 |
| 子の看護休暇の除外要件 | 勤続6か月未満は除外できた | 6か月未満の除外は廃止 |
| 柔軟な働き方の措置 | — | 3歳〜就学前を対象に会社の措置義務化(2025年10月〜) |
| 要介護状態の判断基準 | 高齢者介護が前提 | 障害児・医療的ケア児を含むと明記(2025年4月〜) |
特に大きいのが、残業免除が小学校就学前まで使えるようになったことです。これまでは3歳の誕生日で切れてしまい、そこから働き方に困るご家庭が少なくありませんでした。
障害児の親が使える主な制度6つ
ここからは「育児」の枠組みの制度です。それぞれに対象となる子の年齢が決まっているので、各制度の説明とあわせて確認してください。
お子さんが小学生以上の方は、この章はいったん飛ばして「就学後も使える|障害児は『介護』の制度が使えます」へ進んでいただいて構いません。
1. 残業免除(所定外労働の免除)
申請すれば、会社は原則として残業を命じることができなくなります。
つまり「今日は療育の日だから早く帰る」「夕方に子どもの通院がある」——そうした事情にも対応できるのです。
たとえ職場が忙しくても、免除が認められている従業員に残業を命じることは違法です。
安心して申請して大丈夫です。
2025年4月の改正で、対象が「3歳未満」から「小学校就学の始期に達するまで」に広がりました。 就学前のお子さんを育てているなら、年齢を理由に断られることはありません。
残業免除は、使うと決めたら割り切りが必要
ここは正直にお伝えしておきます。この制度は強力なぶん、働き方の制約も大きいです。
請求すると、会社は所定労働時間を超えて働かせることができなくなります。「今日は忙しいから30分だけ」も原則できません。会社が請求に反して残業させれば法律違反ですから、現場が気を利かせて融通するということ自体ができなくなると考えてください。
実務上は、次のような影響が出ます。
完全に定時内で終わる前提の働き方になる。任される仕事の内容や量も、それに合わせて調整されることが多い
出張は難しくなる。出張そのものを禁じる規定はありませんが、所定労働時間を超えられない以上、所定内に収まらない出張は事実上できません。宿泊を伴うものは特に難しくなります
繁忙期の対応や、時間で貢献するタイプの評価は期待しにくくなる
だからこそ「今は家庭を優先する時期だ」と割り切って使うのがこの制度の正しい姿です。請求は1回につき1か月以上1年以内の期間を決めて行い、請求できる回数に制限はありません。 お子さんの状態や仕事の状況が変われば、更新せずに元の働き方に戻すこともできます。一度使ったら戻れない制度ではありません。
なお、会社が正当な理由なく請求を拒んだ場合は、いきなり罰金が科されるわけではなく、労働局の助言・指導・勧告があり、従わなければ企業名が公表されるという流れになります(報告をしない・虚偽の報告をした場合は20万円以下の過料)。
ただし、まったく身動きが取れなくなるわけでもありません。国の指針は事業主に対し、子の養育や勤務の状況が様々であることに対応して、制度の弾力的な利用が可能となるよう配慮することを求めています。その例として、一時的に子の養育をする必要がなくなった期間について、話合いにより所定労働時間を超えて働くといった運用が挙げられています。会社が一方的に残業を命じるのは違法ですが、本人と会社の話合いによる調整までは否定されていません。
フレックスタイム制で働いている場合
フレックスタイム制でも、残業免除や時間外労働の制限は請求できます。 厚生労働省のQ&Aも「フレックスタイム制が適用されている場合も含め」同時請求が可能だと明記しています。
問題は、「今日10時間、明日6時間」という働き方が制限に引っかかるのかです。ここは制度によって、公式資料の書きぶりが違います。
時間外労働の制限(月24時間・年150時間)については、はっきり書かれています。 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」は、この制限について変形労働時間制やフレックスタイム制の場合も対象となるとしたうえで、フレックスタイム制の場合には、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間について時間外労働としてカウントされると説明しています。
つまり1日10時間働いたこと自体はカウントされません。 清算期間の総枠を超えた分だけが時間外労働として数えられ、それが月24時間・年150時間に収まるかを見ます。
一方で残業免除(所定外労働の制限)については、フレックスタイム制のときの扱いが公式資料に明記されていません。 条文は「所定労働時間を超えて労働させてはならない」とだけ定めています。
ここは労働基準法側の定義から考えることになります。厚生労働省のフレックスタイム制の手引きは、労使協定で定める「清算期間における総労働時間」こそが、いわゆる所定労働時間であり、フレックスタイム制では清算期間を単位として所定労働時間を定めることとなると説明しています。フレックスには「1日の所定労働時間」という考え方がないわけです。
この定義に沿えば、残業免除が禁じているのは日々の10時間ではなく清算期間の総所定労働時間を超えて働かせることという理解になります。ただしこれは条文と労基法の定義からの解釈であって、育児・介護休業法の資料に明示されているものではありません。 実際の運用は勤務先の就業規則によりますので、フレックスと残業免除を併用したい場合は、事前に人事に確認することをおすすめします。
なお、労使協定には「標準となる1日の労働時間」も定めますが、これは年次有給休暇を取得した日の賃金を計算するための基準であって、1日の労働時間を縛るものではありません。ここを「1日の所定労働時間」と読むと混乱します。
※コアタイムが設定されている場合、その時間帯は必ず勤務が必要です。また、誰にフレックスを適用するかは就業規則で会社が定めます。
通院や療育で早く抜ける日と、その分を取り返す日を自分で組めるフレックスは、本来障害児家庭と相性の良い制度です。2025年10月から始まった「柔軟な働き方の措置」でも、始業時刻等の変更(フレックス・時差出勤)は選択肢のひとつになっています。
出典:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」(PDF)/「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A」(PDF)/「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」(PDF)
残業免除請求は原則認められますが、「事業の正常な運営を妨げる」場合は会社が拒否できる例外が設けられています。ただし、その判断は厳密で、単なる業務都合や慣例的な理由は認められません。
2. 子の看護等休暇
通院や体調不良のたびに年次有給休暇を削っている方に、いちばん知っていただきたい制度です。
1年に5日(子どもが2人以上なら10日)まで、子どもの世話のために休暇を取得できます。時間単位でも取得できます。
2025年4月の改正で、次の3点が変わりました。
対象が小学校3年生修了までに拡大(改正前は就学前まで)
取得事由に感染症による学級閉鎖等と入園式・入学式・卒園式への参加が追加
勤続6か月未満を除外する規定が廃止(転職直後でも使えます)
名称も「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に変わりました。会社の就業規則が古い名称のままでも、法律上の権利は変わりません。
ただし注意点があります。取得できる事由は法律で定められており、療育や学校との面談などが含まれるかは会社の運用によります。 また有給か無給かは会社ごとに異なります。使う前に就業規則を確認するか、人事に問い合わせてください。
3. 育児・介護休業
一般的には子どもが1歳まで取得できますが、障害や体調の問題がある場合は1歳半〜2歳まで延長可能です。
介護休業も家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得可能です。
お子さんの手術や長期入院など、どうしても休みが必要な時に活用できる大切な制度です。
4. 短時間勤務制度
1日の所定労働時間を原則6時間にできる制度です。介護が必要な家族がいる場合にも利用できます。
ここは誤解が多いところなので、はっきり書いておきます。法律で会社に義務づけられている短時間勤務の対象は「3歳未満の子」です。 就学前まで一律に使えるわけではありません。
ただし2025年10月の改正により、3歳から就学前についても、短時間勤務が「柔軟な働き方の措置」の選択肢のひとつになりました。会社がこれを選んでいれば、3歳以降も利用できます(次章で解説します)。
職場復帰後も利用できるため、「フルタイムに戻すのが不安」という方にぴったりです。
5. 時間外労働の制限
「月24時間」「年150時間」を超える時間外労働を拒否できる制度です。
ここは混同されやすいので、はっきり書いておきます。これは「残業をゼロにする制度」ではありません。 上限を設ける制度なので、月24時間までの残業は発生しうるということです。
| 1. 残業免除 (所定外労働の制限) | 5. 時間外労働の制限 | |
|---|---|---|
| 効果 | 残業ゼロ。所定労働時間を超えて働かせられない | 月24時間・年150時間が上限。その範囲なら残業あり |
| 向いている人 | 毎日きっちり定時で帰りたい | ある程度は残業できるが、青天井は困る |
| 対象の子 | 小学校就学前 | 小学校就学前 |
| 労使協定による除外 | あり(勤続1年未満など) | なし |
つまり「残業を一切なくしたい」なら1の残業免除、「多少はできるが上限を設けたい」なら5の時間外労働の制限という使い分けになります。まったく残業できなくなると困る方は、5を選ぶという選択肢があります。
重要な注意点があります。この2つは、期間を重ねて同時に請求することができません。 「あらまし」は、所定外労働の制限の制限期間は時間外労働の制限の制限期間と一部または全部が重複しないようにしなければならないと定めています。どちらか一方を選んでください(なお短時間勤務制度とは重複して利用できます)。
時間外労働の制限は原則認められますが、「事業の正常な運営を妨げる」場合は会社が拒否できる例外が設けられています。ただし、その判断は厳密で、単なる業務都合や慣例的な理由は認められません。
6. 深夜業の制限
午後10時~午前5時の深夜勤務を免除してもらうことができます。
夜間のケアが必要なお子さんを持つ家庭には、特にありがたい制度です。
3歳から就学前は「柔軟な働き方」の措置が使える
2025年10月から始まった新しい仕組みです。3歳から小学校就学前の子を育てる社員に向けて、会社は次の5つの中から2つ以上を用意することが義務になりました。
始業時刻等の変更(フレックスタイム制・時差出勤など)
テレワーク等(月10日以上利用できるもの)
短時間勤務制度(原則1日6時間)
養育両立支援休暇(年10日以上)
保育施設の設置・運営等(ベビーシッター費用の補助なども含む)
会社が用意した2つ以上の中から、働く側が使いたいものを1つ選んで利用できます。
障害のあるお子さんを育てていると、療育や通院が平日の日中に入ることが多くなります。始業時刻をずらせるか、テレワークができるか、休暇が増えるか。どれが使えるかで負担はかなり変わります。
まずは自分の会社がどの2つを選んだのかを確認してください。 会社には、3歳になる前のタイミングで制度を個別に説明し、利用の意向を確認する義務もあります。声がかからない場合は、こちらから人事に尋ねて構いません。
就学後も使える|障害児は「介護」の制度が使えます
ここからが、お子さんが小学生以上の方に読んでいただきたい章です。
前章までの残業免除や短時間勤務には、「就学前まで」「3歳未満」といった年齢の上限があります。「小学校に上がったら、もう何も使えないのか」と不安に思われた方もいるかもしれません。
そんなことはありません。 育児・介護休業法には、もうひとつ「介護」の枠組みがあり、こちらには年齢の上限がありません。
法律上の「介護」には子どもも含まれる
「介護」と聞くと高齢の親を思い浮かべますが、法律が定める対象家族には「子」が含まれています(配偶者・父母・子・祖父母・兄弟姉妹・孫・配偶者の父母。同居しているかどうかは問いません)。
つまりお子さんが「要介護状態」にあたるなら、介護の制度を使えます。ここでいう要介護状態とは、負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態のこと。介護保険の要介護認定を受けている必要はありません。
2025年4月に判断基準が障害児向けに見直された
そしてここが、いちばんお伝えしたい点です。
従来の判断基準は高齢者の介護を念頭に作られており、障害のあるお子さんに当てはめにくいという問題がありました。そこで2025年(令和7年)4月1日から、判断基準が見直され、「障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合を含む」ことが明記されました。
判断基準は12の項目からなり、状態「2」が2つ以上、または「3」が1つ以上に該当し、その状態が継続すると認められることが要件です(介護保険で要介護2以上でも該当します)。
障害のあるお子さんに関係が深いのは、次のような項目です。
| 項目 | 状態2(該当しうる例) | 状態3 |
|---|---|---|
| ④ 水分・食事摂取 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ⑤ 排泄 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ⑦ 意思の伝達 | ときどきできない | できない |
| ⑧ 外出すると戻れない・危険回避ができない | ときどきある | ほとんど毎回ある |
| ⑨ 物を壊したり衣類を破ることがある | ときどきある | ほとんど毎日ある |
| ⑩ 日常生活に支障を来すほどの認知・行動上の課題 | ときどきある | ほとんど毎日ある |
| ⑪ 医薬品又は医療機器の使用・管理 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
注目していただきたいのが、通達の注記で次のように具体的に説明されていることです。
⑧の「危険回避ができない」とは、発達障害等を含む精神障害、知的障害などにより危険の認識に欠けることがある障害児・者が、自発的に危険を回避できず見守り等を要する状態
⑩の「認知・行動上の課題」とは、急な予定の変更や環境の変化が極端に苦手な障害児・者が、周囲のサポートがなければ日常生活に支障を来す状況(混乱・パニック等や激しいこだわりを持つ場合等)
「見守り等」には、障害児・者の場合に必要な「確認」「指示」「声かけ」が含まれる
「うちは身体的な介助はいらないから対象外だろう」と思っていた方も、この注記に心当たりがあるのではないでしょうか。 見守りや声かけが常に必要な状態も、判断基準の中に位置づけられています。
ただし注意点があります。乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な世話をする場合は含まれません。 年齢相応のお世話ではなく、障害等に起因して介護が必要であることが前提です。
介護の枠組みで使える制度
要介護状態にあたる場合、次の制度が年齢の上限なく使えます。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 所定外労働の制限(残業免除) | 1回につき1か月以上1年以内。請求できる回数に制限なし |
| 介護休暇 | 年5日(対象家族2人以上なら10日)。時間単位でも取得可 |
| 介護休業 | 対象家族1人につき通算93日まで、3回に分割可 |
| 時間外労働の制限 | 月24時間・年150時間を超える残業を制限 |
| 深夜業の制限 | 午後10時〜午前5時の勤務を免除 |
| 所定労働時間の短縮等の措置 | 短時間勤務・フレックス・時差出勤・費用助成のいずれか |
残業免除は開始予定日の1か月前までに書面で請求します。労使協定により、勤続1年未満や週の所定労働日数が2日以下の人は対象外とされる場合があります。
この仕組みは会社の担当者もご存じないことが少なくありません。 「子どもの介護で介護休業?」と怪訝な顔をされたら、上記の判断基準が2025年4月に見直されたことを伝えてみてください。困ったときは、お住まいの都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に無料で相談できます。
出典:厚生労働省・東京労働局「常時介護を必要とする状態に関する判断基準(令和7年4月1日適用)」(PDF)
よくある質問:「忙しい時期に、仕事を増やされたらどうなる?」
会社側が繁忙期などで仕事量を増やした場合でも、残業免除を申請している従業員に残業を命じることはできません。
これは法律でしっかり守られています。
もし「みんな残ってるから、少しだけ手伝って」と言われたとしても、強制はできません。
例外が認められるのは「事業の正常な運営が著しく妨げられる」など、非常に限定的な場合だけです。
退職を考える前に、「制度を使う」という選択を
「迷惑をかけるくらいなら辞めた方がいい」と思ってしまう気持ち、よくわかります。
でも、制度を使うのは“権利”です。
あなたが働きやすくなることで、家族も安定し、結果的に社会も支えられます。
まずは、会社の人事や上司、労働組合などに相談してみましょう。
厚生労働省の公式サイトや地域の就労支援NPOでも、申請のサポートが受けられます。
よくある質問
Q. どんな制度が使えますか?
A. 残業免除(所定外労働の免除)、子の看護等休暇、育児・介護休業、短時間勤務制度、時間外労働の制限、深夜業の制限の6つが代表的です。加えて2025年10月からは、3歳から就学前の子を対象とした「柔軟な働き方の措置」も使えます。
Q. 残業免除を申請したのに、会社から残業を頼まれたら?
A. 申請している従業員に残業を命じることは原則できません。例外は「事業の正常な運営が著しく妨げられる」など非常に限定的な場合だけです。
Q. 制度を使うと職場に迷惑がかかりませんか?
A. 制度を使うのは法律で認められた権利です。「辞めた方がいい」と思い詰める前に、まず制度の申請を検討してみてください。
Q. 3歳を過ぎたら残業免除は使えなくなりますか?
A. いいえ。2025年4月の改正で、残業免除の対象は「小学校就学の始期に達するまで」に広がりました。 以前は3歳未満が対象だったため、古い情報のまま「3歳まで」と案内されることがあります。就学前のお子さんがいるなら対象です。
Q. 会社の就業規則が改正前のままの場合はどうなりますか?
A. 就業規則が古くても、法律上の権利がなくなるわけではありません。 法律を下回る内容の就業規則は、その部分が無効になると考えられています。まずは人事に改正内容を伝えて確認し、話が進まない場合はお住まいの都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。相談は無料です。
Q. 小学生になったら残業免除はもう使えませんか?
A. 「育児」としての残業免除は就学前までですが、「介護」としてなら年齢の上限なく請求できます。 育児・介護休業法の対象家族には子が含まれ、お子さんが要介護状態にあたれば対象です。2025年4月にはその判断基準が見直され、障害児・医療的ケア児を含むことが明記されました。詳しくは本文をご覧ください。
Q. 介護保険の認定を受けていなくても使えますか?
A. 使えます。 育児・介護休業法の「要介護状態」は介護保険の要介護認定とは別の基準です。認定を受けていなくても、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にあると判断されれば対象になります。
Q. 残業免除を使うと、少しの残業もできなくなりますか?
A. そのとおりです。 残業免除(所定外労働の制限)を請求すると、会社は所定労働時間を超えて働かせることができません。「少しだけなら」という融通も、会社側が法律違反になるためできなくなります。多少の残業はできるようにしておきたい場合は、「時間外労働の制限」(月24時間・年150時間が上限)を選ぶという方法があります。
Q. 一度申請したら、ずっと続けないといけませんか?
A. いいえ。請求は1回につき1か月以上1年以内の期間を決めて行います。 請求できる回数に制限はないので、状況が変わったら更新せずに元の働き方に戻せますし、また必要になれば改めて請求できます。お子さんの状態が落ち着くまでの期間限定で使う、という考え方で問題ありません。
Q. 残業免除を使うと、フレックスで長く働く日と短い日を作れなくなりますか?
A. 制度によって根拠の明確さが違います。 「時間外労働の制限」(月24時間・年150時間)については、厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」がフレックスタイム制では清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間をカウントすると明記しているため、1日10時間働いたこと自体は数えられません。一方「残業免除」についてはフレックス時の扱いが公式資料に明記されておらず、労働基準法上「フレックスの所定労働時間は清算期間単位で定める」とされていることからの解釈になります。総枠内なら配分は自由と考えられますが、運用は会社によって異なるため、事前に人事へ確認してください。
働き方の制度で時間を確保しても、家事の負担はそのまま残ります。特に負担の大きい夕飯作りは、宅食サービスに頼るのもひとつの方法です。
まとめ:辞める前に、できることを知ろう
障害児を育てながら働く親にとって、仕事と家庭の両立はたやすくありません。
でも、「育児・介護休業法」を活用すれば、無理をせずに働き続けることができます。
-
残業免除を申請できる
-
短時間勤務や休業も取れる
-
深夜勤務を避けられる
退職は、最後の手段にしてほしい。
まずは一度、「制度を知る」ことから始めてみてください。
なお、所定労働時間の免除や時間外労働の制限は制度として存在しますが、前提として与えられた勤務時間の中でしっかりと成果を出し、周囲の信頼を得ることが何より大切です。
信頼を積み重ねることで、職場に理解を得ながら安心して制度を活用しやすくなります。
▼あわせて読みたい
※制度・金額に関するご注意
本記事に記載の制度内容は、執筆・更新時点の情報です。条件は法改正により変わる場合があります。最新の情報は厚生労働省の公式サイトや、お住まいの都道府県労働局でご確認ください。
※勤務先の制度についてのご注意
本記事は法律上の最低基準を解説したものです。休暇が有給か無給か、法定を上回る制度があるかは会社ごとに異なります。実際の取り扱いは就業規則と勤務先の人事担当にご確認ください。