障害児支援が受けられる「ちょうどいい所得」とは?|年収換算と計算方法も解説!
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障害のあるお子さんを育てている家庭にとって、手当や福祉サービスなどの公的支援はとても重要です。ただし、これらの制度には「所得制限」があり、世帯の収入によっては支給対象外になることも。
「どのくらいの年収なら支援が受けられるのか?」
「源泉徴収票のどこを見ればいいの?」
この記事では、そんな疑問をわかりやすく解決します!
さらに、意外と知られていない「夫婦のどちらを受給者にするかで限度額が変わる」という話や、副業・株の利益の扱いまで踏み込んで解説します。
- 1. そもそも「所得制限の所得」とは?
- 2. 主な障害児支援の所得制限一覧
- 3. 年収いくらまでセーフ?早見表
- 4. 誰の所得で判定されるのか
- 5. 夫婦のどちらを受給者にすると有利か
- 6. 放デイの28万円ラインは別のものさし
- 7. 副業や株の利益はどう扱われる?
- 8. 源泉徴収票を使った所得の確認方法
- 9. 所得を下げたいときに使える手段
- よくある質問
- まとめ|「年収」ではなく「所得」で判断!
1. そもそも「所得制限の所得」とは?
支援制度で使われる「所得」は、いわゆる年収(総支給額)ではありません。特別児童扶養手当の場合、次の式で計算します。
所得額 = 年間収入額 - 必要経費(給与所得控除) - 80,000円(一律控除) - 諸控除
※給与所得または公的年金等がある場合は、その合計額からさらに10万円を控除します
つまり、「年収が高くても、控除が多ければ所得制限に引っかからない」こともあります。
ここで大事なのが、手当の所得計算は、所得税や住民税の計算とは別物だということ。特に次の違いに注意してください。
| 項目 | 手当の所得判定での扱い |
|---|---|
| 社会保険料控除 | 実額ではなく一律80,000円 |
| 生命保険料控除・地震保険料控除 | 使えない |
| 寄附金控除(ふるさと納税) | 使えない |
| 小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど) | 使える |
| 医療費控除・雑損控除 | 使える |
「確定申告では所得が下がったのに、手当の判定では下がらなかった」というズレは、ここから生まれます。
なお、次の控除は手当の判定でも差し引けます(特別児童扶養手当の場合)。
| 控除の種類 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者控除 | 270,000円 |
| 特別障害者控除 | 400,000円 |
| 寡婦控除 | 270,000円 |
| ひとり親控除 | 350,000円 |
| 勤労学生控除 | 270,000円 |
| 老人扶養控除 | 100,000円(請求者)/60,000円(配偶者・扶養義務者) |
2. 主な障害児支援の所得制限一覧
制度ごとにラインが異なります。扶養親族が2人の場合で整理しました。
| 支援制度 | 所得制限のライン(扶養2人) | 超えるとどうなる |
|---|---|---|
| 特別児童扶養手当 | 受給資格者本人 5,356,000円未満 配偶者・扶養義務者 6,749,000円未満 |
全額支給停止 (1級58,450円/2級38,930円) |
| 障害児福祉手当 | 受給資格者本人 4,518,000円以下 配偶者・扶養義務者 6,749,000円未満 |
全額支給停止 (月16,560円) |
| 児童手当 | 所得制限なし | 2024年10月から撤廃 |
| 放課後等デイサービス等 | 市町村民税所得割 28万円未満 | 上限月額が4,600円→37,200円 |
※障害児福祉手当の限度額は令和8年8月分からの金額です。
※特別児童扶養手当・障害児福祉手当は、受給資格者本人・配偶者・扶養義務者のいずれか1人でも限度額を超えると支給停止になります。
ここで注目してほしいのが、「受給資格者本人」と「配偶者・扶養義務者」で限度額が違うことです。扶養2人の場合、その差は139万3,000円。これがのちほど説明する「どちらを受給者にするか」の話につながります。
扶養親族の数ごとの限度額は次のとおりです(特別児童扶養手当)。
| 扶養親族等の数 | 受給資格者本人 | 配偶者・扶養義務者 |
|---|---|---|
| 0人 | 4,596,000円未満 | 6,287,000円未満 |
| 1人 | 4,976,000円未満 | 6,536,000円未満 |
| 2人 | 5,356,000円未満 | 6,749,000円未満 |
| 3人 | 5,736,000円未満 | 6,962,000円未満 |
| 4人 | 6,116,000円未満 | 7,175,000円未満 |
| 5人以降 | 1人につき380,000円加算 | 1人につき213,000円加算 |
3. 年収いくらまでセーフ?早見表
会社員(給与収入のみ)の場合、年収と所得の関係はおおむね次のようになります。
| 給与収入(年収) | 給与所得 | 手当の判定所得の目安 (一律控除等を引いた額) |
|---|---|---|
| 300万円 | 202万円 | 約184万円 |
| 400万円 | 276万円 | 約258万円 |
| 500万円 | 356万円 | 約338万円 |
| 600万円 | 436万円 | 約418万円 |
| 700万円 | 520万円 | 約502万円 |
| 800万円 | 610万円 | 約592万円 |
| 900万円 | 705万円 | 約687万円 |
この表から、扶養2人の場合のボーダーラインを逆算すると——
- 受給資格者本人(限度額535.6万円)…給与収入で約737万円が目安
- 配偶者・扶養義務者(限度額674.9万円)…給与収入で約888万円が目安
✅ ポイント:判定はひとりずつ行われます。夫婦の年収を合計するのではありません。共働きで世帯年収1,000万円でも、それぞれが上のラインを下回っていれば対象になり得ます。
※上表は障害者控除などの諸控除を含まない概算です。請求者本人や配偶者が障害者手帳をお持ちの場合などは、さらに控除が加わってラインが上がります。
4. 誰の所得で判定されるのか
ここが所得制限のいちばんわかりにくいところです。判定される人は次の3種類に分かれます。
| 区分 | 誰のことか |
|---|---|
| 受給資格者本人 | 手当を請求する人(特別児童扶養手当では、児童を監護している父母のどちらか) |
| 配偶者 | 受給資格者の配偶者 |
| 扶養義務者 | 同居している直系血族・兄弟姉妹(同居の祖父母など) |
大切なのは、この3者それぞれについて限度額があり、1人でも超えたら支給停止になるということ。夫婦の所得を合算するわけではありませんが、「片方だけ低ければセーフ」でもありません。
また、同居の祖父母がいる場合は祖父母も扶養義務者として判定対象になります。二世帯で暮らしている家庭は、この点も確認しておきましょう。
5. 夫婦のどちらを受給者にすると有利か
あまり知られていませんが、受給資格者本人の限度額は、配偶者・扶養義務者の限度額より低く設定されています。扶養2人なら535.6万円と674.9万円で、139万3,000円の差があります。
ということは——所得の高いほうを「受給者」ではなく「配偶者」の側に置いたほうが、判定に余裕が生まれるということです。
具体例で比べてみる
夫の判定所得が370万円、妻が191万円、子ども2人(うち1人が障害児)という家庭で考えてみます。
| 構成 | 夫に適用される限度額 | 夫の所得を増やせる余地 |
|---|---|---|
| 夫が受給者・子2人も夫の扶養 | 受給資格者本人(扶養2人)535.6万円 | 約165万円 |
| 妻が受給者・子2人を妻の扶養に | 配偶者(扶養0人)628.7万円 | 約258万円 |
| 妻が受給者・子2人は夫の扶養のまま | 配偶者(扶養2人)674.9万円 | 約305万円 |
同じ家庭でも、組み方によって余裕が2倍近く変わります。所得の高い夫を配偶者側に置き、扶養親族2人分の加算も夫側に効かせた3番目のパターンが最も有利になります。
注意点
ただし、次の点には注意してください。
- 受給資格者は「児童を監護している人」であることが前提です。形式だけで自由に選べるわけではありません
- 扶養親族をどちらに付けるかは、所得税・住民税の負担や、住民税の障害者控除をどちらで使うかにも影響します
- 放課後等デイの負担区分は世帯合算なので、この組み替えでは変わりません
実際に変更を検討する場合は、市区町村の窓口で「受給者を変更した場合の判定」を確認してから手続きしてください。
6. 放デイの28万円ラインは別のものさし
放課後等デイサービスなどの障害児通所支援は、手当とはまったく別の基準で判定されます。使うのは市町村民税の所得割額です。
| 区分 | 負担上限月額 |
|---|---|
| 生活保護・市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 課税世帯(所得割28万円未満) | 4,600円 |
| 上記以外 | 37,200円 |
ここで間違えやすいのが、次の3点です。
- 市町村民税だけで判定します(税率6%)。県民税・都民税は含めません
- 政令指定都市は市民税8%のため、6%相当に換算して判定します
- ふるさと納税・住宅ローン控除では下がりません(税額控除を足し戻して判定するため)
また、世帯の範囲は住民基本台帳上の世帯です。手当のように個人ごとではなく、住民票が同じ人の所得割額を合算します。
▶ 詳しくは:放課後等デイサービスの利用料はいくら?負担上限月額4,600円と37,200円の境目
7. 副業や株の利益はどう扱われる?
給与以外の収入がある場合の扱いも整理しておきましょう。
| 収入の種類 | 所得制限への影響 |
|---|---|
| 副業(アルバイト) | 本業の給与と合算して判定 |
| 副業(業務委託・ネット収入) | 収入-経費が加算。事業所得+青色申告なら最大65万円圧縮できる |
| NISAの利益 | 非課税・申告不要のため影響しない |
| 特定口座(源泉徴収あり)で申告しない | 影響しない |
| 株の利益を確定申告した | 加算される(損益通算・配当控除のための申告に注意) |
特に注意したいのが最後の行です。損益通算で数万円の還付を受けるつもりで確定申告した結果、所得が限度額を超えて手当が全額止まる——というケースがあります。
▶ 副業の詳細:障害児の親が副業したら手当は止まる?所得制限と副業収入の関係を解説
▶ 株・NISAの詳細:株やNISAの利益で障害児の手当は止まる?確定申告が招く所得制限の落とし穴
8. 源泉徴収票を使った所得の確認方法
手当の判定所得は、源泉徴収票から大まかに計算できます。
- 「給与所得控除後の金額」を確認する(=給与所得)
- そこから80,000円(一律控除)を引く
- さらに100,000円を引く(給与所得・公的年金等がある場合)
- 該当する諸控除(障害者控除・ひとり親控除など)があれば引く
この金額を、第2章の限度額表と見比べてください。
一方、放課後等デイの判定に使う市町村民税所得割額は源泉徴収票では分かりません。毎年6月ごろに配られる住民税決定通知書、または市区町村で取得する課税証明書で確認します。
9. 所得を下げたいときに使える手段
ボーダーラインの手前にいる場合、所得控除を積むことで対象内に収められることがあります。
| 手段 | 年間の所得控除額 | 手当の判定 | 放デイの判定 |
|---|---|---|---|
| iDeCo | 会社員(企業年金なし)で27.6万円まで | ○ 効く | ○ 効く |
| 小規模企業共済 | 84万円まで(個人事業主) | ○ 効く | ○ 効く |
| 障害者控除の申告もれ解消 | 26万〜53万円(住民税) | △ 本人・配偶者等が対象の場合 | ○ 効く |
| 副業の経費・青色申告特別控除 | 最大65万円 | ○ 効く | ○ 効く |
| 生命保険料控除 | 住民税で1人7万円まで | × 使えない | ○ 効く |
| ふるさと納税 | — | × 使えない | × 使えない |
iDeCoと小規模企業共済は、支出が消えるのではなく自分の資産として積み立てられるため、効率のよい選択肢です。ただしiDeCoは原則60歳まで引き出せない点に注意してください。
いずれもその年の12月までに手続きが必要です。年が明けてからでは間に合いません。
よくある質問
Q. 所得制限に引っかかる「年収」はいくらですか?
年収ではなく「所得」で判定されます。給与収入のみ・扶養2人・諸控除なしの概算では、受給資格者本人なら年収約737万円、配偶者・扶養義務者なら年収約888万円が目安です。障害者控除などが加われば、このラインはさらに上がります。
Q. 共働きです。夫婦の年収を合計して判定されますか?
合計はしません。手当は受給資格者本人・配偶者・扶養義務者それぞれについて判定し、1人でも限度額を超えたら支給停止になります。一方、放課後等デイの負担上限は世帯合算なので、こちらは夫婦(および同一世帯の家族)の所得割額を足して判定します。
Q. 控除は何を含みますか?
障害者控除・特別障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・医療費控除・小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど)は使えます。社会保険料控除は一律8万円として扱われ、生命保険料控除・地震保険料控除・寄附金控除(ふるさと納税)は使えません。
Q. 源泉徴収票のどこを見ればいいですか?
「給与所得控除後の金額」です。ここから一律8万円と10万円、該当する諸控除を差し引いた額が、手当の判定に使う所得の目安になります。なお、放課後等デイの判定に使う市町村民税所得割額は源泉徴収票では分からないため、住民税決定通知書か課税証明書で確認してください。
Q. 一度所得制限を超えたら、もう受け取れませんか?
いいえ。判定はその年度についてのものなので、翌年の所得が限度額内に戻れば再び支給対象になります。判定は前年の所得で行われ、支給期は8月から翌年7月で区切られています。所得が下がった年は市区町村の窓口に確認してください。
まとめ|「年収」ではなく「所得」で判断!
- 判定に使うのは年収ではなく所得。手当の計算は所得税・住民税とは別ルール
- 特別児童扶養手当の限度額(扶養2人)は本人535.6万円/配偶者・扶養義務者674.9万円
- 夫婦の所得は合算しない。ただし1人でも超えれば支給停止
- 所得の高いほうを配偶者側に置くと、判定に余裕が生まれることがある
- 放デイの28万円ラインは市町村民税所得割(6%)・世帯合算という別のものさし
- 副業・株の利益も加算対象。ただしNISAと特定口座(申告なし)は影響しない
所得制限は複雑ですが、しくみを知っていれば「うちはどのラインに近いのか」を把握でき、手を打つこともできます。まずは源泉徴収票と住民税決定通知書を用意して、ご家庭の実額を確認してみてください。
迷ったときは、お住まいの自治体窓口や、ファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめです。
▶ 特別児童扶養手当の基本(支給額・対象・申請方法)は、こちらのまとめ記事で詳しく解説しています:
【障害児のお金の手当①】特別児童扶養手当とは?支給額や申請方法をわかりやすく解説
▶ 障害児福祉手当について:
【障害児のお金の手当②】障害児福祉手当とは?支給額や申請方法をわかりやすく解説
出典・参考(公式サイト)
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